浴衣の手入れ法

9月に入るとそろそろ浴衣も片付ける時期になります。 浴衣は、夏祭りのほんの、二、三回程度しか袖を通していなくてもなんとなく家庭の洗濯機で洗うには抵抗があるものです。 お高いものだからと、ついついクリーニングに出してしまいがちです。 でも、浴衣は着物でいえば普段着です。昔で言えば、湯上りに羽織っていた綿の着物でジャブジャブと手洗いしていたものです。 浴衣は自分で洗っても、そうそうトラブルを起こすようなものではありません。 この機会にご自分で洗ってみるのもいいのではないでしょうか?

そこで、出来るだけ面倒なく洗える手入れ法を紹介しましょう。  まず、洗う前に浴衣を広げて汚れをチェックします。 特に、浴衣の裾部分はよくチェックしましょう。 泥はねしたりして汚れている場合が多いと思います。 そういう場合は、部分洗い用液体洗剤かおしゃれ着洗い用の中性洗剤(ない場合は台所洗剤でもOK)を直接、汚れている部分につけてしみ込ませておきましょう。 汚れがひどい場合は、この段階で少し手で揉み洗いしておきましょう。

また、見た目にはまったくきれいに見える部分でも、襟、肩から背中上部のところは、汗を吸いがちな部分です。 ここをほっておくと、翌年取り出したときに油分が黄色く変色することが多いので注意しましょう。この部分にも、予め液体洗剤の原液を直接塗り込んで、生地になじませておくといいでしょう。

それから洗濯にとりかかります。 洗濯する前には、浴衣をきれいに畳んでおきます。 脇縫い、背縫いの直線と襟付けの線に沿って畳めばきれいにたためます。 両袖と着物裾部分が内側に入るように、着丈の4分の1の長さに四つ折りして、袖や裾が出てこないように、4つの隅をプラスチックピンチで留めるか、仕付け糸で綴じ付けます。浴衣の洗濯は洗濯機を使い、水流は手洗いコースの弱水流で洗います。 大きめなネットがあれば、その中にこの状態で入れて洗ってもいいですし、 ネットがなくても、水流が弱ければ、この状態で洗っても大きく形態が変わることがないでしょう。ただ、水流が弱い分、汚れ落ちがよくなるように洗剤は洗濯用の(粉末)弱アルカリ洗剤を使ってください。浴衣と言えども綿ですから大丈夫です。

すすぎは洗剤が残らないように2回以上行いましょう。 脱水は1分を目安にしてください。脱水にあまりに時間をかけすぎると浴衣の生地を痛めますので注意が必要です。

そして、仕上げすすぎの時に、柔軟剤とのり剤を1:1の割合で投入されるようにセットするといいでしょう。こうしておけば、あとのアイロンがけが簡単で、きれいにしっかりとかけることができます。

最後に、浴衣の干し方です。仕上げにアイロンをかけますので、洗濯時につけたピンチや仕付け糸を外し、畳んだ状態でふた折になるように干しましょう。1時間を目安に内側になっているところが外側になるように干し直し、さらに1時間干した後、アイロンをかけます。ですから、まだちょっと湿っている状態でアイロンをかけます。  アイロンは一番高い温度にして、縫い目を左手で引っ張りながらかけましょう。畳んで小じわがきれいに取れて、しゃきっとした仕上がりになるはずです。 浴衣の洗濯は天気のいい日を選んで、干すときは直射に当たらないようにするのがポイントです。
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浴衣の色合わせ

浴衣をはじめとする和装の楽しみのひとつに色のあわせがあります。  古典的な浴衣には、紺地と白地が多く見られますが、これは、暑い日本の夏を快適に過ごすための工夫の表れなのです。 白地の浴衣は昼用で、家の中で着ると真夏でも涼しく過ごせます。 紺地の浴衣の場合、紺色に染めるために使われている「藍」の香りを虫が嫌うことから、虫の多く出る夕方から夜にかけて着用するのが良いとされているのです。

こうした機能的な色のあわせ以外にも、日本には伝統的にかさねの色目というものがあります。 かさねの色目とは、平安時代(794年〜1192年)から鎌倉・室町時代(1192年〜1573年)の貴族の装束の色のことです。植物の花や実や根から「色素」を汲みだして絹などを染めあげた「染織物」の色のことを指します。また、「かさね」を、「重(かさね)」と書くときは、衣の表地と裏地を重ねたときにできる「重層色」を指し、「襲(かさね)」と書くときは、衣を重ね着したときにできる「配合色」を指します。

宮廷に仕える女官たちは、季節の移り変わり、宮廷のおける「ハレ(公け)」と「ケ(平常)」、着る人の年齢や好み、個性などに合わせて、衣服を選ぶセンスや教養が必要とされていました。そして、自然への融和を大切にした平安貴族たちは、衣服の色にも自然の美を積極的に取り入れ、四季折々の自然を模した、日本ならではの美しい色・配色が生み出してきました。

「かさねの色目」は着物に使われる色のあわせですが、浴衣夏用の着物なので、夏の重ねの色目が浴衣の色をあわせるときのよい参考になります。 夏のかさねの色目のベースはさわやかな青と白です。

代表的なかさねの色目をご紹介しましょう。 まず代表的な浴衣は菖蒲(しょうぶ)です。菖蒲は、青(青)・薄青(薄青)・白(白)をベースにした青みの際立つさわやかな色のあわせです。 躑躅(つつじ)や撫子(なでしこ)は、青と白に紅をあわせたものです。 クールな爽やかさの中に紅がまざることで華やかさが加えられます。 また、牡丹(ぼうたん)という淡蘇芳(白)をベースにした生絹があります。 これは非常に上品な色合いです。 更に紫をあわせた杜若(かいつばた)の色目も上品です。 淡紫(淡紫)・薄色(薄色)・青(青)・淡青(淡青)・紅をあわせたもので、 大人の艶めきを演出できます。 女郎花(をみなべし)も面白い色のあわせのひとつです。 これは縦糸が黄色、横糸が青の織物で全体として緑色がかった黄色になります。

浴衣にもこうした色のあわせを積極的に取り入れて伝統の美しさを堪能しましょう。

浴衣に合わせる扇子と団扇

浴衣に華を添える粋な小物扇子があります。 着物や浴衣など和装の時にかばんの中にひとつ入れておくと、ちょっと汗ばむ季節や動いて熱くなった時などでも手軽に涼をとることができる便利な道具です。

一般的に見かけることの多い扇子は、木やプラスチックの骨に薄い紙を扇状にはり、たためるように折り目が細かくついているものです。 最近は100円ショップなどでも色々なデザインの扇子が安く販売されていますので、そのときの気分にあわせた多様なデザインをいろいろと楽しむことができます。

扇子には様々な使い方や意味があり、祭り事や贈り物としても使われることが多くあります。扇子の使い方にも意味があるというあたり、日本人の風情を感じます。 特に浴衣や着物のときには、懐やにさしておくだけでも風情が感じられてとても粋な感じになります。

この扇子は、もともとは団扇(うちわ)から出来たんです。 扇子はもともと中国で発明された団扇に由来します。 この団扇が日本に伝わってから100年ほど時間をかけて折りたたんで携帯しやすい形になったのが現在の扇子というわけです。

団扇は、あおぐ目的で使われるものですが、扇子はよりお洒落で美しい装身具として使われるようになりました。それに伴い、扇子のデザインはどんどんと洗練されたものになっていきます。季節ごとに扇子に描かれる絵は異なり、また季節にあわせた短歌などを書き込むことによって平安時代の人々は風流さを楽しんでいました。

現在でも人気の高い白檀(びゃくだん)の木でできた扇子は、平安時代には女性が顔や口元を隠すために常に常備しているものでした。 更に、その美しさから扇子を使った舞や踊りも作られ扇子の持つ意味は多種多様に広がっていきました。日本で考え出された扇子は、その後中国にも輸出されるようになったようです。中国で生まれたうちわが日本に伝わり、団扇をもとに作られた扇子が中国に輸出されていったという面白い経過があります。

ルーツが同じだからでしょうか、浴衣といえば「団扇(うちわ)」というイメージも強く、浴衣姿で帯の後ろにさっと差しておくだけでも季節感が増して爽やかな感じになります。カジュアルなイメージの強いうちわですが、中国では高貴な人の間でしか使われていないものでした。

現在はうちわはカジュアルに使えて風情もあるのですが、折りたためずかさばるのと、木でできた柄が若干大きかったため自分に合った大きさのものを選ぶのがポイントです。
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浴衣の履物

浴衣を粋に着こなすときに欠かせないアイテムに草履があります。 下駄やぞうりといった履き物類は、浴衣のコーディネイトでかなり重要なポイントになってきます。

浴衣に合わせることが一番多いのは下駄です。浴衣姿で下駄を履き、カランコロンと涼しげな音をたてて歩くのは、夏ならではの光景です。 下駄にも形や種類が色々あり、歯の高さも違っています。 下駄は使われている木の種類や歯の状態で形や名前が変わる面白いアイテムです。 もともとは一本の木をくりぬいて作られていましたが、用途や流行などに合わせて、足を乗せる「台」の部分に「歯」を差し込んだものや、「歯」の部分がない下駄も作られるようになりました。 また、歯の形も一般的な「二枚歯」の他に天狗がはいていたとされる「一本歯」や馬のひずめの形にくりぬかれたものなどもあります。

浴衣に下駄を履く場合には、通常、裸足で履くので足が蒸れることがありません。 また、鼻緒に指を引っ掛けるので、足の指を自然と使うことができるので、子供の足の発達に役立ったり足の血行がよくなるため健康的にも優れているといわれています。

ただ、浴衣にはいつも下駄があうというわけではありません。 通常、浴衣はカジュアルな着物ですから下駄がよく似合うのですが、 着物風にコーディネイトしたりレストランやお呼ばれしたときなどには ちょっとカジュアルすぎてしまうこともあります。

そういうときには草履を合わせてみるとよりフォーマルになるのでおすすめです。 浴衣に草履を合わせると、浴衣姿も少しよそ行きの着物風にコーディネイトすることができます。下駄や草履といった和装の履物は指を引っ掛ける鼻緒の部分の色や下駄や、草履本体の素材や使われている木の種類などでも雰囲気が変わってきます。

最近は木ではなく軽くて履き安い素材でできた下駄も安価で販売されています。 洋服を着ているときと同じように、その時々の装いにあった靴を選べるかどうかで全体のバランスも決まってくるので慎重に選びたいものです。 草履はイグサなどの植物を使って作られているもので、下駄と違って歯はありません。 少しかかと部分に厚みがあるタイプの草履もあります。

一般的に着物・浴衣・作務衣などの和装にあわせて愛用している人が多くいますが、最近では洋服に合わせて気軽に草履を履く人も増えています。 草履を履くときには、下駄と違い足袋を履いてから草履を履きます。 草履の鼻緒の色や台の色と足袋の色とのコーディネイトも楽しめます。

浴衣に合う髪型

浴衣を着るときの髪型といえば、思い出すのはうなじがきれいにはえるアップスタイルでしょう。うなじがみえるアップの髪型は浴衣姿をより引き立てる美しい髪型です。 浴衣を大人っぽく粋に着こなすには、顔のまわりに髪がこないようにすることが大切です。 前髪などで顔周りが重たい印象を与えると、子どものような印象になったり 野暮ったい印象を与えてしまう場合もありますので、注意が必要です。 また、女性の場合であれば、かんざしや髪飾りを使うことでより美しい髪形にしあげることができます。かんざしや髪飾りにも多数の種類がありますので、色や形をよく選んで浴衣の色とあうものをさがしてみましょう。

髪が短くアップスタイルにするほどの長さがない場合、髪型のアレンジの範囲はより広がります。ショートの場合、もともと顔まわりに髪がこないので髪型をどうアレンジしても 重たくならず、逆にかわいらしさをそえることができます。 特に最近の流行はウェービースタイルです。 ウェービーというかわいらしい髪型もショートであれば浴衣の粋さとあいまって斬新な印象を与えることができるでしょう。 ぜひ試してみたい髪型のひとつです。

江戸時代や明治時代には、女性は身分や年齢、流行などを髷(まげ)の形で表現していました。 現在でも結婚式などのときに使われることの多い「高島田」も一般的に結われていた日本髪の「島田髷」が変化したもので人気があったようです。 浴衣をちょっと着物風モダンな感じで、でもあまり見かけないようなヘアスタイルにアレンジしてみたいという場合には、「銀杏返し」や「桃割れ」などの町娘風の髷を結ってみるのもいいかもしれません。

こうして髪型のアレンジを楽しめる女性に比べ、男性の場合は女性ほど髪形やヘアスタイルを気にしていないかもしれません。 しかし、男性のさっぱりとした短髪は涼やかなイメージの浴衣にぴったりあいます。 短い髪をよりすっきりと浴衣に似合うようにアレンジするにはハードワックスなどを使ってセットするのがベストです。 ワックスなどで、ツンツンとたたせる髪型にするとエネルギッシュな印象が強くなりますし、あえてすだれなのような前髪を作ったオールバックのような感じにするとレトロで知的な印象になると思います。こういった髪型の印象を浴衣の色や素材に合わせてアレンジするのがポイントです。

また、髪の長めの男性は、髪を束ね、ワックスなどを使ってサイドをまとめると、セクシーな印象を与えることができます。 男性の場合でも、できるだけ首周りをすっきり見せるヘアスタイルが爽やかな浴衣のイメージにはよくあうと思います。
タグ:浴衣 髪型

浴衣に合わせる帯

着物に欠かせないアイテムとしてがあります。 帯の色やデザインによって浴衣全体のイメージが大きく変わります。浴衣コーディネイトの大きなポイントといえるでしょう。帯をメインに、帯の色に合わせて浴衣を買うのもおしゃれな浴衣の選び方といえるかもしれません。

特に男性の場合は浴衣のデザインや色が女性に比べて少ない分、帯の印象が浴衣姿の印象になることも多くあります。帯の種類や使い方、締め方など帯使いが旨くなると浴衣を着るときの楽しみ方も大きく広がります。

浴衣を着るときに使う帯には、子どもから男性まで使えるタイプのものや、女性ならではの鮮やかなデザインのものまで色々あります。 多様な帯の世界をご紹介しましょう。

まず、一般的によく用いられるのが半幅帯と兵児帯(へこおび)です。 特に半幅帯は、浴衣だけでなく着物にも使われる汎用性の高い帯です。 通常よりも短いため、結びやすく変わり結びが簡単にできる点が人気の理由です。 半幅帯は兵児帯とあわせて使われることも多く、その素材の違いから多様なアレンジをすることができます。

兵児帯とは、子どもの浴衣に使われるやわらかいリボンのような帯のことをいいます。 子どもが使うタイプのものは「三尺帯(さんしゃくおび)」といい、兵児帯はこの三尺帯の長さが長くなったもののことをいいます。やわらかく簡単に結ぶことができるので、初心者でも使いやすいのが特徴です。 しぼりで染められていることもあり、多様な色使いを楽しむことができますます。 主に子供用ですので、大変やわらかく薄い布でできているのでアレンジも簡単にできます。ただ、そのやわらかさから男性の場合、兵児帯を使うと腰を締めるのが難しいと思われますので、着付けに慣れていない場合は避けた方が無難かもしれません。

男性には次にご紹介する角帯(かくおび)がおすすめです。 角帯は男性が浴衣を着るときに使われる帯です。兵児帯とセットで使うことも多々あります。更に、リバーシブルで使えるようにデザインされているので裏表を気にせず使うことができます。中にはマフラーのフリンジのような房(ふさ)があるものなどもありますので帯のデザインで浴衣の印層を色々変えて楽しむことができます。 兵児帯と角帯を触り比べてみると、角帯は兵児帯に比べてかたいのがわかります。 兵児帯は大変結びやすいのですが、男性が使う場合に腰の位置が上になってしまいやすく子どもの浴衣のようになってしまうことが多くあります。 着慣れたように兵児帯を使いこなすのは難しいので、兵児帯を使ってみたい人は慣れるまでまずは角帯を使って練習するのがおすすめです。
タグ:浴衣

浴衣の着付け

浴衣は着物よりも着付けが難しくなく、それでいて着物のような艶やかさを楽しめる点で大変人気があります。 浴衣が広く庶民に広まったのは江戸時代です。 江戸当時の粋な女性のように美しく浴衣を着こなしたいものです。

ゆかたの粋さは清潔感にあります。 縫い目が真っ直ぐになっている着こなしが先ず大切です。 とはいえ、浴衣はあくまで部屋着、日常着として着るものですから、心をゆったりと解放し、それに布をまとうという感覚でかまいません。 こうした少し力のぬけた感覚が浴衣独特の空気をまとうような清涼感をうみだします。

特に美しいのは首筋です。 ゆかたの衿を合わせたら、首を上下左右に動かしてみましょう。 こうしてアゴがどこにも衿に当たらなければ、首筋に色気のある着こなしが出来る筈です。胸元もゆったりと着て、少々のシワや、タルミを気にしないこと。 あくまでもゆらぐような空気感を演出するようにしましょう。 ただし裾だけはきっちりと合わせるのを忘れないこと。

ゆかたは素肌に着るもので、肌襦袢や下着は一切着けません。 そのため素肌の上から着た時、「自分が裸である」という不安感があります。 この不安感が手を動かしたり、足を運んだりするときに自然に美しい仕草となって現れるわけです。 衿合わせをつめ、深くあわせる。体にあわせてきちんと補正する。 こうした基本を忘れては美しい着こなしはできません。 粋とはいってみれば少し気だるい上品さ。品格をなくすような着方は厳に慎むようにしましょう。

全体的な形としては、逆三角形になるようにするのがおすすめです。 肩はすこしゆったりめに布をあて、まとうような空気感をだしましょう。 逆に腰から足にかけてはきちんと布をあて、上から下へとすぼむような形を意識するときれいな逆三角になります。 粋な着方のひとつです。

また、ゆかたは素肌に着るので、足もむろん素足でなければなりません。 普通の着物より短めに着て、足首がすっきり見える所が、またゆかたの粋さを表現する部分でもあります。

ただ、大切なことは粋に着ようと頑張ることではありません。 着る人の体にゆかたをそわせていこうという心の優しさのある着つけこそが自然に風情の出る着こなしとなるのです。 ゆかたは何回も着る、ということが、ゆかた姿を粋に見せる一番早道でコツでもあります。 ゆかたが思い通りに着こなせるようになったら、もう他の着物の着こなしは楽なもの。 ゆかたこそ、きもの通になる早道なのです。

浴衣の作り方

一反のゆかた地が出来るまでには、永年の経験と勘、また優れた技と意匠を備えた職人の手と、 数えきれないほどさまざまな工程を経なければなりません。 浴衣ができるまでの工程には4つあります。
1つめは図案・型紙・型彫り・生地選び
2つめは染工場での地ごしらえ・乾かす・ずる巻き・しわのばし・糊づけ
3つめはやはり染工場での染色・糊落とし・乾燥・畳み
どの過程にも繊細で熟練された技術が必要とされます。
それぞれの過程を追いかけてみましょう。

まず図案です。ゆかた地の柄は、始めと終わりのない連続した幾何模様、或いは季節感豊かな飛び柄などが考えられます。 またゆかたに仕立てた時に、縫い目で柄が重ならない様にも工夫され、細かい部分にも目が光ります。

多くの手間をかけられてつくられた上質の手漉き和紙を柿渋で張り合わせ、 紙の伸縮をなくすために 窯に入れて薫製にします。 柿渋を塗った型紙の上に図案を置き、染め上がりを白くしたい部分を、刃先の細い独特の彫刻刀で切り取っていきます。 残しておきたい型紙の部分がばらばらにならないように、絹糸で荒い蚊帳状に織ったものを張って、漆を塗り、接着固定します。 これで図案は完成です。

次にゆかたのもとになる白生地を織物工場で織ります。 その後、生地は、繊維に染料がよく浸透するように高温釜で煮沸し、過酸化水素で漂白し、生地の油分や 汚れが取り除かれます。 生地は畳まれて、染工場へ運ばれます。

生地を染める前に漂白されて届いた生地に更に染料(インディゴ)のための 浸透剤を入れて、4,5時間煮つめます。 煮詰めた生地は一反一反天日にあてて干していきます。 乾いた生地をミシンのような足踏みの生地巻き機に巻きつけ、のり巻き状に巻き取り、 そのまま 2日ばかり置いてしわを伸ばします。

しわがのびたら、糊つけの作業に入ります。 木のへらで型紙の上から 妨染糊を置きます。 次にのり巻き状の白生地の中心にのし棒をさし込んで生地を回転させ、 1メートル広げては糊を置き、また折り返し同じ作業が続けられます。 染めあがった一反を広げた時に11回の型紙(柄)のつなぎ目をどうすっきり見せるかが 職人の腕の見せ所です。 糊づけのすんだ反物には、糊が互いにくっつき合わないように大鋸屑(おがくず)をまいておきます。 こうして糊付けされた白生地をいよいよ染めていきます。

反物のまわりにゴムでできた枠を張り、80度くらいに沸かしたインディゴ染料を「やかん」と呼ばれる如露で反物の上から浸透しますが 更に浸透を促すため下から圧搾熱を送り、染料を酸化させます。 ゴム枠をはずし、反物をすばやく振り開広げて空気に晒し、更に酸化・発色させます。 十分に発色したら川の水できれいに洗い流します。 洗い上がったゆかた地は その柄もとりどりに一反一反広げられ、天日で乾かされていきます。

染め上げられたゆかた地は整理工場へ送られます。そこでは50反から100反のゆかた地を ミシンで縫いつなぎ、糊をつけ、乾燥機にかけ、続いて幅出し機にかけます。 次に、仕上げ場に 運ばれたゆかた地は、染めの斑を調べられ、最後の化粧をすべく、商標などが貼られます。

工場から戻った反物は小売店や百貨店にさばかれていきます。 一見単純な一反のゆかた地も誕生までには幾多の複雑な工程を経て、職人の技と意匠の映える 世界をつくりだしています。
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人気の浴衣

浴衣は値段も安く、着付けも簡単なため日本人に最も受け入れられており、子供からお年寄りまで幅広く人気があります。浴衣は元々湯上りに着用していた着物なので、涼し気に見えるよう、白地や藍地、紺地に秋の草花を染めた柄が一般的です。

しかし現在では和服ブームに伴い10代から20代対象の洋服ブランドもこぞって浴衣を製作・販売し始め、原色ベースのカラフルなプリントを施したものも多く出回っています。 昔からある白地や紺地に古典模様の浴衣は「古典的」、今風の鮮やかな彩りの浴衣は「ブランド浴衣」と言われます。

ブランド浴衣の中には、彩りの鮮やかさに加えて生地や素材が斬新なものがたくさんあります。 特に、現在人気なのはレースの浴衣です。 ピンクや赤紫などの女性らしい色に白でさりげなくレースの模様が入っています。 遠めに見ると、レースが生地から浮き出たようにも見え大変美しい浴衣です。

また、長さも短めなものが売り出されるようになりました。 もともと浴衣はたけをみじかめにし、足首がでるように着ますが、現在売り出し中のものには膝丈の浴衣もあります。 対象年齢は主に小学生から中学生むけで比較的低年齢層に人気があるようです。 動きやすいため、小さな子供も転ばずに歩くことができるようになっています。

更に、お手入れがしやすくなっているのも現在の工夫のひとつです。 浴衣のお手入れには頭を悩ます人も少なくないと思いますが、今の浴衣は家庭の洗濯機で簡単に洗うことができるものが多くなっています。 中には防しわ加工が施してあるものもあり、家でジャブジャブ洗って干しておけば洗いざらしのまま次も着ることができます。

また、浴衣生地自体の工夫だけでなく浴衣にあわせる小物類もいろいろと新しいものがでています。 例えば、帯です。 現在は半幅帯とよばれる幅15センチ程度の短いものが人気があります。 これは、通常の長さの帯よりも結び方が簡単でゆかたを着慣れない人にも簡単に結ぶことができます。更に、リバーシブルのものも多く一本でイメージの違う浴衣とあわせることができる点で便利です。

また、アクセサリーと浴衣の組み合わせが今年の流行です。 アクセサリーといえば洋装のイメージですが、それをあえて浴衣という純和風なものと組み合わせることでより浴衣を身近なものにすることができます。

人気の浴衣の傾向としてお手軽さがキーワードになるようです。 手入れも普通の洋服となんら変わらず、普通の服と同じようなアクセサリーをして普通の服と同じような感覚で浴衣を楽しむ。 これが今の浴衣ブームの本質のようです。
タグ:浴衣 人気

浴衣はここから始まった

浴衣といえば、夏の風物詩ですね。 浴衣が現在のように普段着のひとつとして浸透したのは江戸時代にまで遡ります。 浴衣という漢字はもともと当て字で、本来は「湯帷子(ゆかたびら)」とよばれていたものがだんだんと「ゆかた」になり、今の「浴衣」の漢字があてられるようになっていったと言われています。

湯帷子は、平安時代に貴族が蒸し風呂に入るとき、水蒸気でやけどをしないように着たものでした。帷子とは、麻の着物のことです。 当時はまだコットンは高級品であったため、より安価な麻でつくられたのでした。 とはいえ、平安時代の浴衣はまだ一部の位の高い貴族しか着ない高級品であったことは間違いありません。

浴衣が本当の意味で広く浸透するのは江戸時代後期です。 江戸時代になり、綿の生産量が高まり庶民に普及するとともに、湯帷子も麻からコットンでつくられるようになりました。 麻に比べて肌触りがよく、水分の吸収性が高いコットンは、日常着にふさわしい生地であったといえます。

また、江戸時代には銭湯も庶民の間に広がっていきます。 こうした銭湯の普及に加え、コットンの浸透とともに湯帷子は、だんだんと風呂の中で着る着物から風呂上りのちょっとした外出着へと変化していくようになります。 更には、当時の天保の改革の下での倹約政策の影響で庶民が絹を着ることができなくなったことも追い風となり、湯帷子はますます外出着として発達していきます。 こうした銭湯の普及、綿の浸透、絹の着用禁止により着用の機会が増えた湯帷子はいつしか「ゆかた」と略されるようになり現在の「浴衣」となりました。 こうして、完全な外出着として人々が日常的に浴衣を着るようになると、その染めの仕方も高度なものになっていきます。

特筆すべきは、藍染の技法が生まれたことです。 江戸後期には、文様を染める長板本藍染の技法が生まれました。この藍染は、絹に染めるのと同じ様な細かい文様を木綿に染める技法で、この藍染により浴衣は絹の着物に負けないほど優雅で美しいものになりました。 こうして浴衣はあっという間におしゃれな江戸っ子の心をつかんだのでした。 この藍染技法の中心地は神田でした。 戦後は江戸川の上流埼玉県の方へと移動していく技術者が多くなりましたが、その心構えはやはり江戸職人。 そのプライドは今の時代にも引き継がれ、職人は誇りをもって仕事を続けています。 現在では量産できる“注染”がゆかたの中心になりましたが、長板染の文様や色づかいの伝統は今もその中にそのまま生かされています。
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